雑記

暖房機器(エアコン、ガス、灯油、電気)、どれが一番ランニングコストが安いか計算してみた

暖房機器で、どれが一番ランニングコストが安くなるか計算してみました。リビングの暖房器具を選定する上で気になったからです。

なんとなくエアコンは電気代が高い、というイメージがあるものの、最近では改良が進み省エネになったという話も聞きます。

ネットで探すと、暖房機器の種類ごとに1時間運転した時の費用を表示しているサイトは沢山ありました。しかし、暖房能力が異なるのに、単純に1時間あたりのコストを計算してもフェアではないと思い、自分で計算してみることに。

結論として、ランニングコストが一番安いのは、エアコンとなりました。

書き出したら、計算の前提の説明が長くなってしまいました。早く結果を見たい人は、目次から「結果発表」をクリックして飛んでください。

暖房機器の種類

まず最初に、暖房機器の種類を整理してみます。

暖房機器の種類として、「部屋全体を暖める」タイプと、「局所的に暖める」タイプの2種類があり、下記のように分類してみました。(局所的というのは、足元だったり、席に座っている特定の人だけを暖める、といった用途を想定しています)

部屋全体を暖めるタイプ
  • エアコン 
  • ガスファンヒーター 
  • 石油ファンヒーター
  • 石油ストーブ 
  • オイルヒーター
  • 床暖房

局所的に暖めるタイプ
  • 電気ストーブ
  • セラミックファンヒーター

暖房能力が大きく異なり、用途も異なる両者ですが、今回は、両方のタイプのランニングコストを計算してみます。

結果の前に。比較精度を下げる要因に関して

異なる暖房方式のランニングコストは、単純に比較出来ず、ある仮定をおいて比較するしかありません。

ここでは比較精度を下げる要因に関してまとめておきます。

暖房機器種類による暖房効率低下要因 (計算誤差発生要因)

各種暖房機器のランニングコストを比較する上で、単純に比較できない点が多々あります。

エアコンであれば外気温の影響を受けますし、ガスファンヒーター等であれば、一酸化炭素中毒を避けるために定期的な換気が必要です。換気の時間や頻度に応じて燃料費用をが余分に発生することになります。

下記に暖房機器ごとに、暖房効率が低下する主な要因を列挙してみます。

  • エアコン: 機種によるCOP/APF値(効率)の違い。外気温・室外機の設置環境により効率が下がる。
  • ガスファンヒーター: 定期的な換気が必要。わずかではあるがファンの回転に電力が必要
  • 石油ファンヒーター、石油ストーブ: 定期的な換気が必要。灯油の購入コストが発生(自動車のガソリン代など)。ファンヒーターの場合は、わずかではあるがファンの回転に電力が必要
  • オイルヒーター: 熱伝達中間媒体がある
  • 床暖房: 外気温による影響。熱源が遠い場合ロスが大きくなる。熱伝達中間媒体がある
  • 電気ストーブ: 特になし
  • セラミックファンヒーター: わずかではあるがファンの回転に電力が必要

これらが、ランニングコストを計算する上での誤差になります。とはいえ、換気が必要か?、不要か?など、ごちゃごちゃ細かなことを言っていても、結局は暖房機器が異なると単純には比較できないですので、これらの点は計算上考慮しないことにします。

補足: 「熱伝達中間媒体」の説明

「熱伝達中間媒体」は一般的な用語ではないですので、ここで別途説明します。

「室内空間」と「熱源」の間の媒体の有無を説明するために、筆者が考えた用語です。

エアコンやガスファンヒーター、電気ストーブなどは、熱源が室内の空気を直接温めます。一方、床暖房やオイルヒーターは、床暖房の場合は床下を流れている水、オイルヒーターの場合はオイルといった媒体を暖め、その媒体が室内の空気を暖めます。後者は、媒体経由暖房といった感じで、その媒体のことを、「熱伝達中間媒体」と書きました。

媒体経由暖房の何が損かというと、暖める対象が、室内空間+熱伝達中間媒体の両方になるからです。熱容量の大きい液体をまずは暖める必要があり、その分の燃料費が発生します。例えとして、お風呂の水を沸かしながら、浴室を暖めているようなイメージです。

暖房時間が長くなればなるほど無視出来るようになりますが、短時間の使用ほど、余計なコストが発生する要因になります。(もちろん、蓄熱されているのですぐに部屋が寒くならない効果もありますが、その分、費用も発生していることにもなります。)

熱伝達中間媒体の有無も、比較する上で精度を落とす要因ではありますが、やはりここでは、計算上考慮しないことにします。(考慮しても、正確に比較することは出来ないですので・・・)

エアコン(ヒートポンプ方式)の消費電力以上の暖房能力について

エアコンだけは計算がちょっと異なるので、ここで特記しておきます。

例えば電気ストーブの場合、消費電力500Wの電気ストーブであれば、500Wの暖房能力しかありません。一方エアコンは、暖房方式がヒートポンプであるため、消費電力以上の暖房能力を有します。その能力を表す数値がCOPやAPFといった省エネ指数です

COP値やAPF値が5のエアコンの場合、消費電力が500Wだとすると、500Wx5=2,500Wの暖房能力を発揮出来ます。

以下に、COP、APFとは何かを簡単にまとめておきます。

COPとは

COP: Coefficient Of Performance

日本語名: エネルギー消費効率

想定条件: 暖房時は外気温7℃、冷房時は外気温35℃

計算式: (定格能力)÷(定格消費電力)

APFとは

APF: Annual Performance Factor

日本語名: 通年エネルギー消費効率

想定条件: 暖房時は3つの外気温(定格暖房、中間暖房、暖房低温)、冷房時は2つの外気温(定格冷房、中間冷房)と、建物用途やエアコンの使用期間も設定

計算式: (冷房期間+暖房期間で発揮した能力)÷(冷房期間+暖房期間の消費電力)

最近では、より実際の使用環境を考慮したAPF値を使って性能を表示することが多いようです。

エアコンのカタログを見ると、機種やサイズによってAPF値が異なり、高くて7、低くて5程度です。ここでは、7、5、3の3種類のAPF値を仮定して計算してみました。3はカタログ値よりもコンサバに見た数値です。

イメージとしては、APF値が7は比較的新しいモデルの高効率エアコン、APF値が5は一世代前とか最新だけれども省エネ指数の低いエアコン、APF値は3はかなり古いエアコンととらえても良いかもしれません。

別の捉え方としては、APF値が7は外気温が高かったり、室外機が日当たりの良い南側に設置してある場合、APF値が5は一般的な冬の気温の場合、APF値が3は寒い地域でエアコンを使用する場合、などとイメージしても良いかもしれません。

繰り返しになってしまいますが、様々な条件で計算が変わってきますので、比較する上で今回は単純に、APF値を複数仮定しました。

計算の前提

計算の前提は下記のように設定しました。

計算前提: 熱量
  • 電気の熱量:      3.6 MJ/kWh
  • 都市ガス(13A)の熱量: 45 MJ/m3
  • 灯油の熱量:      36.7 MJ/(1リッター)
計算前提: 単価
  • 電気代:      27 円/kWh
  • 都市ガス(13A)代: 161 円/m3
  • 灯油代:      85 円/(1リッター)

MJはメガジュールの略です。メガは100万、ジュールは熱量を表す単位です。日常生活ではカロリーがよく用いられますが、ジュールも熱量を表す単位の一つです。

電気単価は、業界で一般的に使用されている単価です。筆者の過去5年間の実績もほぼ同じ単価でした。(過去5年間に16,531kWh使用し、449,633円を電力会社に支払いましたので、平均単価は約27.2円/kWhです。)

都市ガスの種類は13Aとし、単価は、筆者の過去5年間の実績から算出しました。(過去5年間に2297m3使用し、370,221円ガス会社に支払いましたので、平均単価は161円/m3です。)

灯油の単価は、近所のガソリンスタンドで見てきた価格で、18リッターで1,530円でした(調査年月:2020年12月)。ネットで調べてみると、全国的な相場はもっと高そうです。あくまで筆者の近所では18リッターで1530円でしたので、ここではその価格で計算します。

筆者が大学生だった頃は、一斗缶(18リッター缶)を近くのガソリンスタンドに持っていき、800円くらいで灯油を購入していた記憶があるのですが、最近は高いんですね。

単価は、時期や料金プランで変動しますので、やはり細かなことを言っていても比較が出来ませんので、ここではこの単価で計算してみます。

結果発表 <暖房機器の種類によるランニングコスト>

では、前置きが長くなりましたが、ランニングコストの計算結果です。

同じ熱量を得るのに必要な単価を表にしています。

暖房機器 熱源 熱量あたりの単価
(円/メガジュール)
エアコン (APF値=7) 電気(ヒートポンプ) 1.07
エアコン (APF値=5) 電気(ヒートポンプ) 1.50
エアコン (APF値=3) 電気(ヒートポンプ) 2.50
・ガスファンヒーター
・床暖房
都市ガス 3.58
・石油ファンヒーター
・石油ストーブ
灯油 2.32
・電気ストーブ
・オイルヒーター
・セラミックファンヒーター
電気 7.50

ランニングコストが一番安いのはエアコンという結果になりました。

エアコン(ヒートポンプ)のランニングコストが一番安く、灯油、低効率エアコン、都市ガス、電気の順にランニングコストが高くなっていきます。

ガスファンヒーターの単価が高いのは、筆者としては意外でした。

本来であれば機器の購入費用(償却費用)も含めて計算すべきで、機器の購入費用はエアコンが一番高いため、上記のランキングは変わる可能性はあります。

しかしながら、クーラーとしてエアコンを使用する場合を考えると、暖房機器としてのエアコンの購入費用はゼロ円ともいえます。

エアコンの購入費用をゼロ円とし、他の暖房機器の購入費用を勘案してランニングコストを計算すると、更にエアコンが割安になるため、これ以上の計算はやめておくことにします。

エアコンのランニングコスト以外に関する考察

ランニングコストはエアコンが一番安い結果になりました。それ以外のメリット、そしてデメリットに関して考えてみました。

エアコンには、本体価格が高い、取付け・取外し費用が必要、定期的な清掃が必要、といったデメリットも存在します。

一方で、他の暖房機器と比較して、安全性、利便性に優れている点も見逃せません。

  • 火災・やけどに対する安全性が高い
  • 灯油のような買い出し、給油が不要
  • タイマー設定や人感センサーによる気流制御など高機能
  • インバーター制御による、きめ細かな電力制御
  • 換気が不要

暖房費のランニングコストの安さとあわせて総合的に考えると、筆者としては、部屋全体を暖めるための暖房器具はエアコンにすることに決めました。

注: 
他の暖房器具を否定しているわけではないですので、最後に付け加えさせていただきます。

部屋全体を暖めない用途、夏場エアコンを必要としない部屋、エアコンが設置困難な部屋、使用頻度が低い場合など、エアコン以外の暖房機器の方が適していている場合も沢山あります。どのような場合でもエアコンが最適な暖房機器になるわけではありません。

要は目的と用途で最適な暖房機器の種類が決まりますので、その点は明記しておきます。足元だけ暖めたい、狭い部屋で使用したいという場合は、電気ストーブやセラミックファンヒーターという選択肢になるかと思います。

最後に

今回は暖房機器の種類によるランニングコストを計算、比較しました。

今回の計算では、暖房機器としてのランニングコストはエアコンが一番安い、という結果になりました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。皆さんの、暖房機器選定の一助になれば幸いです。