佐々木圭一/著「伝え方が9割」読了。前書きでグッと惹かれて即購入。ベストセラーもうなづける、一度読んでおいて損はない本。
この本のエッセンスは前書きに集約されているといってもいい。自分に興味のない女性をデートに誘うときのことば。「デートしてください」ではなく、「驚くほど旨いパスタの店が あるのだけど、行かない?」。なるほど、後者の方がデートしてもらえる可能性は高そうだ。
その後に続く、締め切りを延ばして欲しい時の伝え方。「レポートの提出を延期してくれませんか?」ではなく、「クオリティを上げたいので、粘ることできませんか?」。物は言いようである。(「クオリティが低くても良いので、まずは提出してよ」とも言われそうな気がしたが、それは置いておこう。)
こんな始まりで、グッとこの本に引き込まれた。
概要 <伝え方が9割>
著者の佐々木圭一氏は、元博報堂勤務のコピーライター。コピーライトに関する国内外50を超える賞を受賞し、CHEMISTRYや郷ひろみの作詞も手がけたことありと、経歴はピカイチ。
この本では、タイトルに「伝え方」とあるように、リクエストの仕方、相手に好感や感動、好印象を与える伝え方、人を動かすことばが学べる。
相手の心を動かすことによって、自分のリクエストに対して ”「ノー」を「イエス」に変える” ことが出来るというわけだ。いわゆる、文章術やコミュニケーションが上手くなる類の本とは一線を画す。
書籍の構成は大きくは2本立て。
- 「ノー」を「イエス」に変える技術
- 「強いコトバをつくる5つの技術」
「ノー」を「イエス」に変える技術は文字通り。強いコトバとは、人の心を動かす強いコトバ。
著者がコピーライターと聞くとセンスがあって感性で”ことば”を作っていると思いがち。佐々木氏よると、法則があるのだという。その法則がこの本で学べる。
1点苦言を呈すると、書籍全体の文章は冗長さが目立つ。作文術とか、日本語の書き方本みたいな、長文を書けるようになる本の例文を読むと、ホント冗長な文章と感じることがあるが、この本も似たような感じで冗長。
逆に言うと、「ことば」に長けている著者だからか、長い文章を書くためのテクニックが多用されているのかもしれない。冗長と感じつつ、繰り返し強調する文章術“も”学べるとポジティブに受け取りたい。
(少し脱線しましたが、この本では文章術ではなく、“ことば”によって人を動かせる伝え方に関する本です。)
伝え方の法則を利用して、自分で例文を作ってみた!
書籍の中で紹介されている手法を使って、例文を作ってみました。
「ノー」を「イエス」に変える技術
「ノー」を「イエス」に変える技術: (1) 相手の好きなこと
「夏休みの宿題早くして」
「早く夏休みの宿題終わらせたら、あとはたっぷり遊べるよ」
「ノー」を「イエス」に変える技術: (2)嫌いなこと回避
「靴を買いすぎじゃない」「靴はこんなにいらないでしょ?」
「靴底のゴムは加水分解で5年くらいで劣化して履けなくなるよ」
(自分の応用として「沢山あると履かないうちに靴が劣化してしまうから、買い過ぎない方がいいよ」などと「買い過ぎ」と批判めいた言葉は出さない)
「ノー」を「イエス」に変える技術: (3) 選択の自由
「焼肉屋さんに行こう」
「外食に行くなら、焼肉とお寿司どちらがいい??」
「ノー」を「イエス」に変える技術: (4) 認められたい欲
「書類のチェックしてくれない?」
「いつも確実にチェックしてくれるから、頼りにしてるよ。今回も書類のチェックをしてくれない?」
「ノー」を「イエス」に変える技術: (5) あなた限定
「本日は、定番の新入社員教育資料を使って、、、」
「本日は、○○さんのためだけに作成してきた教育資料を使って、、、」
「ノー」を「イエス」に変える技術: (6) チームワーク化
「掃除しなさい」
「一緒に掃除しよう!」
「ノー」を「イエス」に変える技術: (7) 感謝
「書類のチェックお願いします」
「いつもありがとうございます。今回も海外出張旅費の請求書類のチェックをお願いできますか?」
次は、「強いコトバをつくる5つの技術」です。
「強いコトバをつくる5つの技術」
「強いコトバをつくる5つの技術」①サプライズ法
- そ、そうなんだ!
- そ、そうなんですね!
- なるほど!
- さぁ、とよたいけん (駅の構内で見つけた、「ツーリズムとよた×名古屋鉄道 タイアップ企画」のポスター
「強いコトバをつくる5つの技術」②ギャップ法
- 「見た目はシンプリでも、多様な味わいのする○○ケーキ!」
- 「結婚は人生の墓場だというけれど、○○ちゃんとなら一生墓場に住んでも良いと思っているよ」
(ちなみに、自分のプロポーズの言葉ではないです。書いた自分でも、かなりドン引きしています・・・汗)
- 時代は、つづく。事件は、完結。(明治村のチラシから)
「強いコトバをつくる5つの技術」③赤裸々法
- スマホを持つ手が震えるほど嬉しかった、Google Adsense合格通知
「強いコトバをつくる5つの技術」④リピート法
- うまい、うますぎる!
- でた でた 月が まーるい まーるい まん丸い (童謡で見つけたリピート法)
「強いコトバをつくる5つの技術」⑤クライマックス法
- 「今まで秘密にしてきたんだけど、」
- 「このことは、○○くんだけに教えるんだけど、」
心に残ったところ
この本を読んで伝え方の大切さは当然学んだ。「驚くほど旨いパスタの店があるのだけど、行かない?」なんていう言い方は若い頃の自分のキャラではないが、「今、映画○○○○に興味があるんだけど、一緒に観に行かない?」くらいのデートの誘い方はあったかもしれない。
相手のメリットになる言い方を心掛けていきたい。
もう一点、心に残っていることがある。
「伝え方が9割」の著者佐々木氏は、相手の心を動かせる伝え方を法則化している。例えば、有名シェフは、自分自身がおいしい料理を作ることができるだけではなく、レシピ化してスタッフの誰が作っても同じ味を出せるようにしている。ビジネスとして成功しているシェフは、料理の腕が凄いだけではない。
センスや感性、そして努力だけではない。法則化、方法論化、文書化、レシピ化、などして、誰でも同じようにパフォーマンスが出せるようにする事も、能力でありマネジメントとして大切なこと。自身の仕事や職場においても、心に留めて、活かしていきたい。
まとめ
「伝え方が9割」この本ベースに、自分なりの「伝え方」や「ことば」に応用していきたい。
何かを伝えたい時、頭に浮かんだ言葉をただ漫然と伝えるのではなく、伝え方を考えてみる。「ノー」を「イエス」に変えられる言葉の策士を目指したくなる本だった!
(間違ってもことばの詐欺師にはならないように、、、 お後がよろしい様で・・・)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。